本のご紹介
メディカルフレンド社発行 「医療倫理学のABC」
監修 井部俊子 著者 服部健司・伊藤隆雄
- 医学生、看護学生が医療倫理を学ぶための教科書として使用されている本です。
- ケアされる側とケアする側の姿勢、問題点を「君ならどう考える?」と問いかけ、ともに考えさせる内容です。
- たとえば、病院で不満も言わず、暴れもせず、わがままも言わない患者さん、優等生で亡くなっていく患者さん。医療者にとっては手のかからない人に見えるが、本人の心の中はどうだろう。体の自由が利かない、快方に向かわない自分を、無理に律しているだけではないか、と問いかけます。
- 障害をもつ人に関わる、高齢者と関わる、患者さんとかかわる、子供と接する全ての人にちょっと立ち止まって考える機会を与えてくれます。
本文から抜粋
「ぼくたちのほとんどは、絶対愛される人間、誰からも信頼される人間になんかなれない。同じように、倫理的な人間にもなれない。ぼくたちは有限だ。それを忘れてしまってはいけない。
(中略)
「僕たちにできることは、ただ、愛されるに値する人間、信頼されるに足る人間になろうと、また倫理的であろうと、努め続けることだけだ。」
「もう一度言おう。ケアとはやわらかい暴力と紙一重、いやコインの裏表かもしれない、敵意や侵襲性を内在している。そのどちらが表に出るかということは、ケアする側の技術や人格などの問題だけではなく、受け手との相互作用によって決まるものなのだ。だからもし、ケアの反作用を受け止める回路を遮断して、ケアが一方通行の行為に固定されてしまったらどうだろうか。相手が相当深く傷ついてしまうまで、相手の苦悩に気付かないという悲劇が起こりうるだろう。」