私の余暇活動3 改作遊び≪白雪姫の真相≫

私の余暇活動について、会報で報告してきましたが、今回はひそかな楽しみにしている改作遊びを報告します。
外に出掛けて行くのもワクワクしますが、1人でウフフと笑いをこらえながら物語の世界に想いをめぐらすのも面白いです。
以前、私は「空想科学読本」という本を読んだ事がある。「怪獣が来ると消費税が2ケタになる」とか、「ドラえもんのタケコプターは危ない」等々。タイトルだけを見ると夢をつぶすのかというのばかりだが、文章は理路整然としていて返って納得して笑い転げてしまった。「私もこんな風に物語をアレンジすることはできないだろうか」と思ってあれこれ考えてみた。最初に浮かんだのが「白雪姫」だった。特に疑問に思ったのが王子様が毒リンゴを食べて死んだ白雪姫にキスをして生き返らすシーンだった。「普通キスで人が生き返るか!?」そしたら私の職場の介護施設でも日常的に行われ、世の中に死ぬ人がいなくなるハズだ。
では、私の一部改作「白雪姫」を紹介しよう。

小人たちか仕事に出掛け、1人でいる時にたまたまリンゴの訪問販売の人がやって来た。「このリンゴを一口かじってごらんなさい。それはそれはこれまで食べた事のない位に美味しくてほっぺたが落ちてしまうから」と白雪姫に渡したのだ。実はこのセリフはただのセールス文句である。だがその後の事件でこれが呪文と勘違いされてしまう。
仕事で疲れていた白雪姫は訪問販売で買ったリンゴを口にした時、喉をつまらせ、息が出来なくなり倒れてしまった。小人たちが帰って来た時には白く青ざめ食べ残したリンゴが白雪姫のそばに散らかっていた。「魔女に毒リンゴを食べさせられ、死んでしまったに違いない」と思い込んだ小人たちは悲しみに包まれてしまう。その頃「魔女狩り」という事も行われていた為、小人たちはリンゴのセールス販売員とは露知らず、「魔女」の1人にやられたと思い込んでしまったのだ。
丁度そこに男の人がやって来た。小人から状況を聞いて、脈などを調べ、一言「この人は生きています」と言った。茫然としている小人たちの前で白雪姫を起こし背中の上の所を力いっぱいたたいた。今で言う「ハイグリット法」である。その直後リンゴが口から出て来た。続いて男の人は人工呼吸をやった。人工呼吸を知らない小人達はそれを「キス」と勘違いしてしまったのだ。でもこの当時一般の人には「ハイグリット法」や「人工呼吸」は全くと言って良い程知られてないはずだ。なのになぜこのやり方を知っていたのだろう。考えられるのはこの人は当時の医療スペシャリストの可能性が高い。眼を覚ました白雪姫は小人達にキスをして治してもらったと聞いたが、人の世話をするのが、天職と小人達の世話をしていた白雪姫は、世の中にはこんな医療技術があるのだ!もしかしたら他にも沢山の医療技術があり、それを身につけたら小人達の身に何かあったら時に助けられると思い、男の人に「私を弟子にして下さい」と頼んだ。その男に人も「自分の持っている医療技術を広げていきたい」という思いがあったので白雪姫の願いを聞き入れた。結婚して幸せになったのではなく、その日から物凄い修業の毎日を過ごしたのだった。

だけどなぜ、白雪姫と7人の小人達は森の中にひっそりと暮らしていたのだろう。もしそこに「王子様」と言われた男の人が助けてくれなければ白雪姫は本当に死んでいたのだ。
私は以前「癩(ハンセン病)」について調べていた事がある。当時、療養所という所で隔離されていた。東村山の全生園を訪ねた事もある。まだ医療技術が進んでない頃はこの様に確かな治療法のない病と診断された人は集められ、隔離されたそうだ。白雪姫はその様な所の療養所の寮母さんだったのだ。あるいは小人達は知的障害を持った人達ではなかったか。小人達の名前が「おとぼけ」とか「にがむし」という風に付いていて、そのような極端な性格は障害による症状である。グループホームの寮母さんだったのかもしれない。 小人達は日々山できれいな石を掘り、白雪姫はそれを町に売りに行くというのが彼らの仕事だった。「小人さんの宝石ですよ~」と町で言うとていねいな仕事ぶりが一目で町の人には判り、バカ売れしてしまう程だった。白雪姫は売ったお金で小人達を食べさせていた。「ハイホ~・ハイホ~」と歌っていたのは狼などに襲われないために。朝早くから夜遅くまで人里離れた森の中で働いていたのは自分たちが障害者である事を悟られないようにするためだった。当時は病気や事故、戦争などで障害を持っている人は今以上に差別や偏見の目にさらされていたのではなかったろうか。
「鏡よ鏡。鏡さん、この世で1番美しい人は誰?」という問いに「それはあなたの継子の娘です」と鏡が答えたのは顔や姿が美しいのではなく、心のやさしい人という意味だったのだ。
そして「白雪姫」というのは発見された時に息が出来なく、白く青ざめて冷たくなって倒れていた状態からそうついたのだ。「雪のように冷たく白く青ざめた女性(姫)」という意味である。おそらく「白雪姫」とは後で付けられた名前であろう。白雪姫の本当の名前は誰も知らない。