講演会 成年後見選挙権訴訟を担当して
日時:2013年5月25日
場所:機械工具会館 6階 ホール
講師:弁護士 大石剛一郎 先生 (名児耶匠さん後見選挙権訴訟代理人)
参加費:無料
公職選挙法11条1項1号の規定により,成年後見人をつけると選挙できない制度になっています。成年後見人がつくと選挙の投票案内が来なくなります。
これまで国政選挙や地方選挙に欠かさず投票に行っていた名児耶匠さんが,娘の生活(主にけ金銭管理について)を守るため父親の清吉さんが成年後見申立をしたことによって,選挙権がなくなる事態に陥りました。一方匠さんより重い知的障害を持つ人であっても成年後見人をつけなければ選挙権を奪われない矛盾した事態になっています。
名児耶さんは匠さんの選挙権を回復しようと平成11年選挙権確認請求訴訟を東京地方裁判所におこしました。国側は選挙権を行使するには判断能力が必要で,判断能力について個別に審査することは不可能である。故に成年後見制度を借用した。また,不正な投票に誘導される恐れもあるとの主張でした。
この3月14日ようやく判決期日を迎え,裁判所は選挙権喪失に違憲判決を下しました。成年後見人をつけた人に対し,一律に選挙権を剥奪することは許されない。選挙権を行使していた実態を尊重するべきだとの判断でした。しかし,3月27日国は違憲判決が確定すると今後の国政選挙や地方選挙に混乱が生じるとして控訴しました。
この訴訟の代理人として関わってこられた弁護士大石剛一郎先生にこれまでの国側の対応,訴訟の様子,控訴審の見通しなどについて伺いました。成年後見制度の問題点、知的障がい者の事件などにも触れていただきました。
大石剛一郎(オオイシ コウイチロウ)先生プロフィール
1959年、東京生まれ。弁護士(修習41期。東京弁護士会所属)。
湘南ふくしネットワークオンブズマン設立者の一人。
障害者・高齢者施設のオンブズマン、第三者委員活動に関わる。
浅草事件、水戸アカス紙器事件など、障害のある人の被害・加害事件に取り組む。