2009年10月24日みーんなで楽しむお話しの会と若山超さんコンサート

2009年10月24日、みーんなで楽しむお話しの会と若山超さんコンサートを開催しました。

お話しと合唱

板橋地区で教師や元教師の方々が読書の普及と平和を願い活動されている佐藤静子さん、鶴見篤子さん、藤田敏子さんが,全員参加型の言葉と音楽の楽しさを伝えて下さいました。

ことばあそび・・・・「かっぱ」「やんま」「ホッケイサン」など
読みがたり・・・・「めっきら もっきら どおんどん」
大合唱・・・・涙そうそう、大きな古時計など

(佐藤静子さん)
元小学校教諭。現在は日大医学部付属病院内で親の会である「げんきの会」と協力しながら、読み語りや学習指導のボランティアを行っている。担任をした病気のあきこちゃんが亡くなるまでの交流は児童作家の宮川ひろさんの手により「天使のいる教室」という児童書になっている。サトパン先生と呼ばれる。

(鶴見篤子さん)
元小学校音楽教諭。現在NPO法人日本アコーディオン協会事務局次長。板橋区内で蔵王の水と国産大豆を使った豆腐づくりを障害をもつ人と共に行う「はらから会」の理事。子どもと音楽が大好きで、音楽にかかわっているうちに音楽専科ではなかったのに、音楽の先生になってしまったという。

(藤田敏子さん)元小学校教諭。この本だいすきの会板橋支部代表。本の魅力にとりつかれ、読みがたりの活動に熱心に取り組む。担任になった子供たちは皆、本が大好きになってしまう。ことば遊びで子供達のこころを鷲づかみにする。自称か他称か、「フジドジ」という呼び名も。おちゃめな○才。

若山超(たかし)さんコンサート

2年ぶりの若山さんのコンサートです。関守先生と共に、牛込箪笥ホールでの熱気あふれるステージの再演です。前半はクラッシック曲、後半は皆さんおなじみの曲目の演奏をして下さいます。超さんの演奏で合唱もすてきですね。

若山超さんプロフィール

昭和57年生。生後まもなく水頭症を発症。未熟児網膜症併発。その後全盲となる。水痘症の後遺症と片麻痺と発達に障害がある。 自閉的傾向があり言語によるコミュニケーションは苦手だが,ピアノを通して自分を表現できるようになり,今は演奏することが楽しくてしかたない。

お話の会と若山超さんコンサートを終えて

お話の会&超さんコンサートが無事終わりました。

前回の若山超(たかし)さんのコンサートから2年が経過しました。この間、超さんの体調が思わしくない時期もあり、次回のコンサートは難しいという話を伺っていました。総会後の月例会で、今年は楽しいことをやりましょう、ということになったとき、真っ先に上がったのが、超さんのコンサートでした。超さんの体調が回復し、短い時間なら演奏できるようになったというのです。それなら是非ということで、今回は若山超さんにお願いすることにしました。

そして、いつかネットワークに是非ご協力をお願いしたいと思っていたのが、藤田敏子先生をはじめとする読み語りの会の皆さんです。出演交渉をするべく、先生方にお会いしたのですが、会の説明をして、「お願いします」というだけでは「よし、行って楽しくやりましょう」というまでには到底届かず、交渉人としての自分の非力さをひしひしと感じざるを得ませんでした。結果として、有志で藤田敏子先生、佐藤静子先生、鶴見篤子先生に出演を快諾いただきましたが、先生方の真剣で真摯に、真っ直ぐに物事に関わろうとする姿勢に参りました。

毎回のことなのですが、会場選びには難儀します。仕事を放って、一日中ネット検索した会場に当たるのですが、どこも帯に短かし、たすきに長しです。公共の施設以外でバリアフリーのところを探すのは至難の業です。やっと見つかった会場が「音楽堂ano ano」。大塚駅から5分、定員60名、音響のよい、アットホームな会場です。入り口に段差があることと、電動の車椅子が入るトイレがないこと、が玉に瑕でしたが、回りの皆さんの協力を得ることを条件に決めました。マネージャーの草野さんは障害を持つ人にも理解のある、優しい方で、あれこれご無理をお願いしました。

とても楽しい会だったので、皆さまに当日の内容をご報告致します。ちょっとメモリー不足な点はご容赦ください。

当日は40数名の参加を得て、会場は優しさと熱気につつまれました。

導入は藤田先生のことば遊びです。谷川俊太郎さんの「かっぱ」の変形バージョンを暗唱して下さいました。お風呂場で、また、仕事中、一人になると大声で口ずさみ、練習していたのに・・・失敗したと嘆いていらっしゃいましたが、いえいえ、そんなことはありません。いい感じで言葉の世界に参加者全員を誘ってくださいましたよ。

かっぱ かっぱらった
かっぱ らっぱ かっぱらった
とって ちってた

初めての企画に、私はどうしたらいいのかしら、と、最初は戸惑った様子の方も多かったのですが、次第に、声が出てきて、全体が揃うようになりました。もっと早く、もっと早くと早口にします。皆さん、だんだん調子がでてきました。

続いて 「やんま」です。

やんまにがした ぐんまのとんま
さんまをやいて あんまとたべた

意味は考えなくてよいのだそうです。言葉の流れとテンポで憶えましょう。

最後は「ホッケイさん」これは別紙をつけますので、ご自分の節をつけて、読み込んでみてください。最後は、

だっこして、おんぶして、またあした ジャンケンポン

勝ちの多かった人には豪華??商品もありました。

続いては佐藤静子先生の「めっきら もっきら どおんどん」(長谷川 摂子作、 ふりや なな絵)の読み語りです。実物の6~7倍の大きさの本を使って、情感を込めて読み語りして下さいました。この本は子供たちの大好きな本です。

主人公のかんたは誰もいなくてつまらなかったので、めちゃくちゃな歌をつくって歌います。

ちんぷく まんぷく あっぺらこのきんぴらこ
じょんがらぴこたこ めっきら もっきら どおんどん

かんたはくるくるうずにまかれて落ちていきます。すると、三人の妖怪が現れます。妖怪と楽しくあそんで、お腹も一杯。そこで一休み。目覚めるとかんたはお母さんが恋しくなってしまいます。そこでかんたは妖怪達が止めるのも聞かず、大声で「お・か・あ・さ~ん」と叫んでしまいます。

気がつくとかんたは元の場所に戻っていました。それからかんたはどう考えてもあのめちゃくちゃに歌った歌を思い出すことができません。
佐藤先生の優しい語り口と鶴見先生のアコーディオンで、読み語りが一層印象深くなりました。

続いては鶴見篤子先生のアコーディオンで大合唱です。この頃には大きな声を出すことに抵抗がなくなり、みなさん思いっきり大きな声で歌っていました。

まずは「紅葉」「里の秋」「翼をください」と続きます。
鶴見先生、アコーディオンの音はなじみやすくて、温かくて、心地よい。心にすとーんと落ちました。
スペインからのお客様も来ていただいていたので、「ちょうちょ」はスペインの歌であると説明いただき歌いました。
「明日へ」は初めての人がほとんどの曲でしたが、フレーズごとに教えていただきながら、合唱。

参加者の濱田さんが歌える歌のときには、マイクを回し、誰もが楽しめる雰囲気を自然に作って下さいました。

終わらないで、もっと続けて。いつまでもいつまでもみんなで歌っていたいと思いました。鶴見先生、重いアコーディオンにもかかわらず、軽快な演奏、ありがとうございました。

休憩をはさみ超さんの演奏です。

この日は会場の雰囲気にもう一つ乗り切れなかった超さんは入り口からなかなか入ろうとしませんでした。いよいよ演奏の時が来ても、ご機嫌斜めかな、と思うような感じで。いつも指導して下さる関守先生が超さんを気遣いながら、気長に、超さんを除々に音楽に乗せていく様子がとてもよくわかりました。超さんはもともと音楽大好きで、お客さんの反応も敏感に感じるので、乗ってきたらもう大丈夫です。その後は楽しそうに演奏して下さいました。いつも影で超さんを支え続けるお母さま、超さんの演奏の後方でじっと歌詞を書いた模造紙の出番をまっています。お父さんとお母さんと関守先生がいつも超さんをバックで支えていて、今の超さんがあることがよくわかります。

すぐに演奏に乗りきれなかった超さんの様子を知ることができたのも、どういう風に関守先生が気長に超さんを音楽に向かわせてあげるのかももとても勉強になりました。

当日まで超さんはずっと親知らずの痛みに耐えていたようで、コンサートが終了した後、全身麻酔で親知らずの治療をすることになっていました。この日に歯が痛み出さなかったことにも幸運で、感謝です。

懇親会の席で、今回初めて参加下さった濱田朝美さんが「障害たった1つの母との約束」を熱唱して下さいました。日本一下手なプロの歌手というキャッチコピーで本とCDも出していらっしゃいます。毎日新橋の駅前で歌っているそうです。応援してあげたいですね。

色々な人の思いがぎっしり詰まったお話の会とコンサートになりました。藤田先生、佐藤先生、鶴見先生、関守先生が包み込むような優しさで皆さんを取り込んで下さったお陰です。超さん、濱田さんもすてきな歌声、ありがとうございました。
背が高いということで、模造紙持ちに抜擢されてしまった岸先生、ご協力ありがとうございました。
皆さん、お疲れ様でした。そして、本当にありがとうございました。

藤田先生には読書活動を在職中拡げ、新聞で紹介される程の読書奨励校にした経験、佐藤先生には日大板橋病院でのボランティア活動、担任の時に亡くなった明子ちゃんを囲む同級生のお話、鶴見先生には、はらから会という障害を持つ人がお豆腐やさんでがんばって収入の道をつけた経緯、関守先生には超さんとの出会いと関わり、など、時間があれば語っていただきたいことがたくさんありました。

その他の参加者のみなさんの中にも、歌ってくださった濱田さん、戦争体験から現在までを綴ってくださった山内さん、ベトナムや中国から帰化して苦労をされている人など、参加者は本当に多彩でした。

こんな交流が楽しくて、輪が広がることが楽しくて、こんな機会をまたもてればいいなと強く感じた一日でした。

皆さまに

本ネットワークとしては、会員の皆さまだけでなく、何かご自分の特技や表現法をとおして社会参加している障害をもつ方々の応援をしていきたいと考えています。
コンサートや観劇、合唱、合奏など、自薦、他薦を問わず、ご連絡ください。